コラム

 公開日: 2018-05-12 

すっかり変わってしまった経営環境―何故やらない!?―Ⅰ

何もかもが、なかなかうまくいかない・・・・ように見えているのが、今の地方における中小企業の状況ではないでしょうか。
過疎化高齢化による人口減少と購買力の低下。
下がり続ける資産価値にデフレが追い打ちをかけます。
若者は都会へと流れ、人材不足は深刻です。
国の地方活性化政策も俄かには効き目が表れそうにありません。
それどころか税制が変われば、景気に悪い流れを加速させかねません。

町はシャッター街へと変貌し、年々廃れる一方です。
町中も郊外も空き家や空き地が目立ってきました。
いろいろな打ち手はもうやりつくした。・・・このままではいい材料は何もない・・・・
実際、業績がなかなか上がらない経営者の間ではそんな空気が蔓延しています。

この、悪い状態が当たり前、という後ろ向きの気分だけは、どういう訳か、経営者の間では共有されているのです。
うまくいかない要因について語らせると彼らの口からはいくらでもその材料は出てくる出てくる。
しかし、自らが地方にいて事業を経営し、現場でつぶさにその状況をウォッチングしてきた私の意見はまた違います。
果たして本当にそうでしょうか?

この点をこれから書くような「例え」で考えてみようと思います。
50年前、昭和の時代に親父さんが始めた事業を、平成に入ってしばらくしてから継いだ2代目がいる(とします)。
事業の経営手法は、創業者である親父さんに敬意を払って(?)ほとんど変えずに2代目もやり続けている(とします)。

彼(2代目)の心の声・・・・・
『何故だかちっとも商売がよくならない。親父に言われたとおりにやっているんだが・・・何故だろう?
インターネットやSNSを事業に活かそうと試みたこともあったが、親父があまりいい顔しないので途中でやめてしまった。
同級生の○○のところはネットでずいぶん売れていると聞いた。
それに比べてこっちはちっとも商売がうまくいかない・・・・何故だろう??
親父は
「俺はこうやって成功してきた。俺の言ってる通りにやっていれば間違いないんだ。」
としか言わないので、その通りにやっている。
でも、あの頃からすると町の人口も半分になったよなあ。
なんか違うような気もするけど、親父がそう言うんだから間違いないんだろう。
それにしても商売がうまくいかないなあ・・・何故だろう??』

もしこんな2代目経営者が目の前にいたら、張り倒したくなるのは私だけでしょうか。
「馬鹿野郎!何をグズグズしてんだよ。お前が考えていることをとっとと実行に移せよ!そうやって、いつまでも手をこまねいているから業績が一向に上がらないんだろうが。まだわかんないのかよ!」
と、叱咤したくなるのは私だけではないだろうと思います。(言葉が乱暴でごめんなさい。あくまでもフィクションですから。)

昔に比べて商売の置かれている条件が悪くなったのは冒頭で書いた通りです。
しかし、商売に限らず、人間はどんな状況にしろ、その置かれた条件の下で生きていくしかありません。
商売を続けていく上での環境がすっかり変わったのであれば、それに合わせて生きていくしかないのです。
ところが、その環境に適合させようとする経営者の何と少ないことでしょう。
手をこまねいたままの経営者のあまりにも多いことには驚いてしまいます。

親も、たまたま高度経済成長時代にうまくいった自分のビジネスモデルが、今の経営環境に合わないことくらいはとっくに気が付いていいはずなのに、昔やった通りを息子に伝えようとするのです。
うすうす気がついてはいるが、ほかに代替案もないのでそのまま教えているのでしょうか。

そう言えば、私の父も自分がやって来たやり方を変えられるのは嫌そうだったなあ、と思いだします。
私がラッキーだったのは、父の場合、自分のやり方をそれほど強烈に押し付けてきた訳ではなかったことです。

父は、自分のテリトリーさえあまり侵されなければ、私が何か新しいことを手掛けても、ほぼ黙認という態度でした。
普段それほど自分の考えを細かく押し付けてくる方ではなかったのです。

まあ日常がそれでも、細かい我慢は溜まりに溜まっていたようで、時折激しくぶつかることも何回かありました。
いずれにしても、考え方や手法の違いによる意識の乖離はだんだん進んでいくし、お互い気にもなります。
それで、ある時とうとう私が父の事務所を出て独立したのです。(その後また合併しましたが・・)

自分の考えややり方を、そのまま日常的に強要する先代経営者もまた多い中、普段、ガミガミ言わなかった私の父はむしろ少数派だろうと思います。
どちらかといえばそっち(日常的にうるさく言う)の方が多数派かも知れないのです。

ただそんな父も、自分やりかたややって来たことを、いろいろと変えられることに関しては、明らかに不快だったことは間違いなありません。
もっとも私も、土足で踏みにじるようなそんな乱暴な変え方をしたつもりはなかったのですが。



シャッターだらけの商店街

つづく

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